顕彰事業

(2020年)
第50回 機械工業デザイン賞IDEA 入賞

工業製品機械デザイン

超高速液体クロマトグラフ「Nexeraシリーズ」 (島津製作所)

 液体試料を分析する計測機器。製薬や化学、食品、環境分野などで品質管理と、製造、研究の各部門で成分の分離や定性、定量に用いる。遠隔地から稼働状況を把握でき、稼働率の最大化と業務負担軽減を支援する。室温変動による気泡混入時は自動で排除、自己復帰する。分析データの品質維持と業務省力化をサポートする。

開発者コメント

分析計測事業部 ライフサイエンス事業統括部 LCBU ビジネスユニット長 井上 隆志
総合デザインセンター デザインユニット プロダクトデザインG 主任 姜 慧梨

1. 開発の発端となった最も重要な課題はどのようなことでしょうか。
 医薬品や環境規制対応の厳密化等でLC分析需要が高まる一方で、熟練分析者の割合は減少し、ラボは限りあるスペースへの効率的な装置配置と生産性向上が求められている。一方、長期販売するNexeraシリーズでは、更なるブランド力強化のため高い先進性と高級感を感じさせる外観デザインと、直感的に分析条件や稼働状況が把握できるUIの表現を実現する必要があった。

2. 課題解決までのご苦労と、ブレークスルーのポイントをお教えください。
 新しい概念「Analytical Intelligence」の実現に向け、様々な使用状況で発生し得る分析条件の調整要素の検証作業に多くの時間を費やした。また従来と大きく変わった外観意匠においては、デザイナーと技術者との間でデザイン/設計思想を丁寧に共有しながら開発を進めた。UIについては分析装置に不慣れなユーザーでも馴染む画面構成を実現した。

3. 技術者として、ユーザーに向けたメッセージをお願いします。
 自動復帰機能、カラム劣化防止機能に加え、移動相残量モニタリングなど、トラブル要因を自動排除する機能を多数搭載。熟練者のノウハウを取り込んだ支援機能に加え、低キャリーオーバー性能などの高い基本性能を備え、「分析データの品質維持」および「分析業務の省力化」を的確にサポートすると同時に、リモートワーク時代の新しい分析業務のあり方を提案。

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